Vampire's Moral
俺は自分を落ち着かせようと思って、台所に向かって冷蔵庫を開ける。
誰が買い込んでたかは知らないけど、とりあえず表面に記名の無いトマトジュースを選んで、開封して一気飲みした。
さっきよりもさらに大きくなっているすすり泣きのような声を無視して、そのまま部屋に戻ろうとすると、ちょうどDesireが部屋から出てきた。
「Desire、…起きてた?」
「ううん、起こされた。……たっくん、口の周りにトマトジュース付いてるよ」
Desireに指さされたので慌てて拭ってみると、確かにトマトジュースが付いていた。
いくらキレかけてたとはいえ、…俺ださっ。
気を取り直して、Desireに質問する。
「起こされたって、何に?」
するとDesireは黙って、耳をすます仕草をしてみせた。
「たっくんも、聞こえてるんでしょ? この、悲鳴みたいな、泣き声みたいな音が」
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