Vampire's Moral





俺はそのまま頷く。


「これ、本当に泣き声じゃないかと思うの。声の高さから考えると、私が泣いてるんじゃないんだから……」

「これ、流血が泣いてるんじゃないか?」


いつのまにかに、Bloodyが横に立っていた。
Bloodyの部屋は、流血とDesireの間にある。


「Desireじゃなかったら、流血だろ」

「うん、たぶん。……だから、心配なんだよね」


きっと思い出して、苦しんでるだろうから。
Desireは切なそうに顔を歪めて、そう続けた。


すると、すすり泣く声は、絶叫する声に変わった。
それは、恐怖に怯えるような金切り声ではなくて、どうしようも無い悲しみや苦しみを吐き出すような叫び声。

此処に居ないなら、もう間違い無い。
これは流血の記憶であり、悲しみと寂しさの声だ。


「流血っ!」


Desireがそのまま流血の部屋に向かい、ドアを開けた。





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