Vampire's Moral





ドアは簡単に開いた。
吸血鬼は昔から、夜間は部屋の鍵を閉める人が多いらしいが、それでも簡単に開いてしまった事からも、流血が生粋の吸血鬼じゃない事が分かる。


先に部屋に入ったDesireに続いて、俺とBloodyも部屋に入った。


「流血、ごめんね。眩しくするよ!」


Desireが叫ぶように言って、部屋の電気を点けるが、流血の反応は無く、叫び声は途切れなかった。



そこで俺達が見たのは、


真っ赤に染まるベッドシーツと枕カバーと、

閉じられた目から赤い涙を流しながら、
悲しそうに絶叫する、
ベッドに横たわる流血の姿だった。


「流血! 流血っ!」


窓際のベッドまで一気に駆け寄って、赤い涙を流しながら叫ぶ流血を揺さぶるDesire。
流血の絶叫が揺らぐが、Desireは流血を揺さぶる手を止めない。


「流血、起きて! もう良いよ!」





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