Vampire's Moral






高校三年生として部活も引退したあたしは、放課後は毎日のように家業のラーメン屋を手伝う日々を過ごしていた。
今日は母さんから、材料の買い足しを頼まれているから、帰りにスーパーに寄ってから帰る。



「ふぅっ。……あっつー」


重たい荷物を持ってスーパーから一歩出た瞬間、九月の残暑厳しい日差しがあたしを襲う。
思わず、一人ごちてしまった。


「暑いですね。熱中症に注意して下さいね」

「…あ、はい。気を付けます」


あたしの独り言を聞いてたらしいスーパーの店員のおじさんが、苦笑しながら返事してくれた。
聞かれてたなんて、何かダサい。


スーパーからの国道を歩いていると、交差点にぶつかった。
此処で信号を渡って、商店街の裏の道に入れば、ラーメン屋・三河屋はすぐだ。

あたしは信号機から伸びる狭い影で少しでも涼もうとしながら、信号が変わるのを待った。





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