Vampire's Moral





「その生まれ変わった吸血鬼は、流血……つまりウチ…………」

「そう。まさか悲しい過去を忘れてるのは、想定外だっただろうけど」


…気付いたらDesireが部屋に入ってきていて、ウチを抱き締めていた。
ヨシヨシと、あやすように背中を撫でてくる。

ってかDesire、いつ部屋に入ってきたんだろ?
ウチは抱き締められてるのに、何でそれに気付かなかった?


「“兎は寂しすぎると死んでしまう”っていう人間界の言い伝え、流血も聞いた事あると思う。それは本当だったみたいだな。兎としての流血は、寂しすぎて死んでしまった」

「想いを自ら伝えないで、結果として寂しすぎて死んでしまった兎は、自ら伝えなかった事から自殺と見なされて、罰として吸血鬼として永遠を生きるようになった」


Desireが、この部屋に来てから、ようやく喋った。
…いや、ウチはいつからDesireがこの部屋に居るか分かんないけど。





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