Vampire's Moral





自らを殺した兎は罰として、永遠を生きる吸血鬼となった。
吸血鬼となった兎は、寂しくて悲しくて苦しい想いを、永遠に背負う事になった。




……そうか。そういう事なのか。
何となく見えてきた。


何処かの学校の兎小屋。
毎日、子ども達が世話してくれる。
そこで生まれた、兎の一つのカップル。
そしてあぶれてしまった、想いを抱えたままの一羽の兎。

あぶれてしまった兎は、想いを抱えたまま、寂しさのあまりに死んでしまったーーーー。
ただ、一緒に過ごしたかっただけなのに。
一緒に仲良く過ごしたいからこそ、その兎は、ウチは自分の想いを押し殺したのに。


小屋で一緒の仲間達と、いつも一緒に過ごしてた薄茶の女の子と灰色の男の子、世話してくれてた人達の足と靴の風景が蘇る。

何で忘れてたんだろう?
何でウチは、この想いを忘れてたんだろう?
視界が赤くなる。
肋骨らへんがズキズキと痛む。





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