Vampire's Moral





……だって、因幡が気になるんだ。普通に。
俺には真亜咲っていうスペシャルな彼女がいるから、好きとかじゃないけど。

心配なんだよ。妙な雰囲気の因幡が。
あの赤い染みだって、“吸血鬼の突然変異”って説明じゃ、納得いかないし。


因幡は、俺と真亜咲をくっつけてくれた。
言うなら、恋のキューピッドであり、恩人。
そんな恩人が困ってるなら、俺も真亜咲も、因幡の力になりたいし。

だからこそ、因幡のあの説明じゃ納得がいかない。
困ってるなら、頼ってくれたって良い。



「なぁ、因幡」

「何?」


授業が終わった後、俺は一人で教室に戻る因幡に声をかけた。


「何かあったんだろ? 一人じゃ何も出来ないなら、俺や真亜咲を頼ってよ」

「……何で」


言いたくなけりゃ、言わなくても良いよ。
…けど俺は、因幡の言葉の続きが出てくるのを待った。


「何で、何かあったと思ったの?」





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