Vampire's Moral
この家に来た時の流血が、既に過去を忘れていたかどうかは、俺には分かんない。
ただ、覚えていれば、もっとずっと早く長く苦しんでいたんじゃないかと思う。
「……ウチが喧嘩強いのは、どうして? ウチ、忘れている過去で、喧嘩に負けた事で後悔した事があったの?」
「それは違う。というか、そんな細かい事まで、俺が知る筈も無いだろ。元から吸血鬼って種族は、怪力で知られてるんだ」
実際、俺だって拓斗だって、流血ほどじゃないが、力は強い。
Desireに至っては、俺は前に投げ飛ばされた事もあるしな。
「……ただ、もしも流血の蹴りが特に強いんだとしたら、それは兎の頃の影響だと思う。兎って、後足の跳躍力が凄いから」
「……あぁ」
流血の蹴りが特に強いなんて、俺は意識した事もないけど。
本人が納得してるから、何か思い当たる事があるんだろう。
「他は? まだ質問は有る?」
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