Vampire's Moral
「Bloodyみたいな目……」
流血は考えてるらしい。
…そんなに、俺みたいな赤い目が嫌かよ?
「兎だった頃に好きだったヤツ、灰色の毛だったんだっけ?」
「そうそう。灰色の毛に、黒い目」
そこまで鮮明に答えられるって事は、流血の寂しかった記憶は随分戻っているんだろう。
俺には関係無いけど、それはそれで苦しいんじゃないかと思う。
「流血はソイツのコト、よっぽど好きだったんだろうな。灰緑の色は、ソイツを想って出た色かもしれない。黒い目じゃないのと、緑が混じった理由は知らねぇ」
「ふーん……?」
流血は自分で質問してきたのに、妙に納得してない感じだ。
仕方無いだろ。俺は当事者じゃないし、あくまでも想像で喋ってんだから。
「そんなに好きだったのに、何で言わなかったんだ? ……って、それは分かってるか」
そのまま流血は、“一緒にいたかったから、幸せを願ったんだよね”と呟いた。
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