Vampire's Moral
15 ~拓斗Side 零れ落ちた赤い~
十月に入ってから、随分涼しくなって、日差しも弱くなった。
制服の着用義務が無い北高に通う俺――拓斗も、何も迷う事無く冬服を着て行く毎日だ。
冬服は何が便利かって、長袖で、生地が厚く、遮光能力が高い事だ。
肌が真っ黒に焼けてるのに、吸血鬼として日差しに弱い俺としては、本当に有り難い。
しかも、そんなに厚い生地の服を着る事に、これだけ涼しくなると抵抗も無い。
「ただいまー」
「おかえり」
その日も冬服を着て学校から帰ってくると、流血がスーパーの袋の荷物を、冷蔵庫に移していた。
…って事は、今日の買い物と夕食の当番は、流血って事か。
……流血、最近は色々と苦しんでるし、大丈夫なのか?
しかし、少なくとも今の流血は大丈夫みたいだし、俺は自分の部屋に向かう。
制服から長袖Tシャツに着替えて、英語の宿題と現代文の小テストの勉強をする事にした。
英語の長文読解、あんまり得意じゃないけど。
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