Vampire's Moral





普段から流血が飲んでるトマトジュースに希望を託す。
流血の口をこじ開けて、強制的にトマトジュースを流し込んだ。

上手く流れ込まずに、流血の口から零れる、一筋のトマトジュース。
流血の赤い涙を混じり合って、まな板に落ちる。
ニンジンに、赤い染みが追加された。
吸血鬼で血を見慣れてる俺ですらも、少し怯む。
けど、流血にトマトジュースを飲ませる事を、やめる訳にはいかない。


「……うぇっほ!!」


トマトジュースが気道に入ってしまったのか、そのままゴホゴホとむせこむ流血。
しかし、流血の意識を取り戻す事には成功したし、こうして反応してくれるようになった。


「流血、大丈夫?」



俺はまな板の上にある赤い染みの付いたニンジンを、流血の代わりに水道でよく洗う。
ついでに赤い染みの広がったまな板も、洗剤を使ってよく洗った。
流血は何回か瞬きしてから、ようやく俺を見た。


「……拓斗?」

「良かった、もう大丈夫みたいだな」





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