Vampire's Moral





笑えないのも、兎の表情が乏しいからか、結果的に自殺した代償だって言うから。
結局は兎の生まれ変わりの、吸血鬼として生きてる限りは、再び笑える日は来ないだろう。

吸血鬼として生きてくにしても、代償としての表情が極端に乏しい事と、吸血鬼として鏡に映る事が出来ない事を、受け止めて生きてく必要がある。
鏡に映る事が出来ないって事は、自分で赤い涙を確認出来ない事もそうだけど、笑ったり泣いたりする練習も出来ないって事だ。
そもそも、“笑ったり”“泣いたり”っていう、自然に出てくる筈の表情に、練習が必要だっていうのも、おかしな話だけど。




難しい。本当に難しい。
何から、どうしていけば良いのか、全く分かんない。
ただとにかく、寂しくて悲しくて、苦しい。
二人に再会する事は、絶対に出来ない。

何だか悔しくて、向かっていた勉強机を、思いっきり叩く。
一回じゃ納得がいかなくて、何度も何度も叩く。





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