Vampire's Moral
俺は三高の制服の融通性に少しだけ感心しながら、トマトジュースを飲み干す。
改めて中学指定の鞄を持って、返事が来なくても構わない「行ってくる」を呟く。
リビングを出ると同時に、拓斗と流血の「行ってらっしゃい」が聞こえた。
“…そういや、二人は学校行かないのか?”とか、今更ながらに疑問に思う。
疑問に思ったけど、俺には関係無いから、そのまま無視して、玄関で靴を履いた。
続けて“ガタガタガタッ”と、何かが崩れるような不吉な音がして、冷静な拓斗が「流血!?」と珍しく慌てる声が聞こえた。
“流血に何かあった”と思った俺は、靴を脱ぎ散らかして、リビングに戻る。
靴なんて、後からいくらでも戻せる。けど、流血は戻れないかもしれない。
「流血!? 何かあったのか?」
そこには、サングラスを床に落としてるのに反応が無く、頬に青い痣と赤い涙の跡を付けた流血と、その流血の側に立って声をかけ続ける、慌てふためく拓斗がいた。
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