Vampire's Moral





普段は慌てない拓斗が、こんなにも慌てている。
ここで俺まで慌てたら、流血の意識が戻らないかもしれない。
そんな事を考えて、俺は出来るだけ冷静に、拓斗に流血の状態を聞く事にした。


「拓斗? 流血、どうしたの? 一体、何があったの?」

「分かんない。急に倒れて…」

「この痣は? 見覚えある?」

「分かんない。見覚えは無い」


そうか、拓斗も分かんないのか…。
……そう言えば、こないだ流血が具合悪くした時に、一緒に居たのは拓斗だった事を思い出した。
その時の対応を上手く使えば、何とかなるかもしれない。


「拓斗? こないだ流血が気絶した時は、どうした?」

「こないだの気絶?」

「そうそう。流血が夕食作ってる間に気絶しちゃって、代わりに拓斗が夕食作ってくれた時」

「あの時は確か……、あ」


拓斗は何か思い出したらしい。
そのまま冷蔵庫からトマトジュースを出して、強制的に流血の口に流し込んだ。





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