Vampire's Moral





「流血に、ニンジンやキャベツの匂いを嗅がせてる。兎だった頃を思い出して、本能的に目覚めるかもしんないから」

「…いや、逆効果だと思うが。辛い過去を思い出すだろうから」


拓斗の言う事も正しい気がして、俺はニンジンやキャベツを、台所に戻しに行った。
俺としては、かなり真面目にやったつもりだったんだけど…。



リビングに戻ると、拓斗が相変わらず流血に声をかけながら、流血の背中をさすり続けていた。


声をかけても反応しない。
体を触ったり、揺さぶっても反応は無し。
トマトジュースを飲ませても、意識は戻らない。
ニンジンやキャベツを使って、嗅覚に訴えても効果無し。

…何かもう、万事休すな気がしてきた。
流血の意識を戻す方法は、何かあるのか……?



「…逆に、ニンニクとか、十字架なんてどう?」

「オマエは流血を殺したいのか!?」


ショック療法で効果が有るかもしれないかと思ったけど、逆に拓斗に怒鳴られた。





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