Vampire's Moral





吸血鬼の天敵とされている、ニンニクや十字架。
実際、Desireはかなりニンニクが苦手らしい。
人間でいうショック療法に良いんじゃないかと思ったんだけど、やっぱ駄目みたい。


「流血、しっかりしろよ…」

「流血…流血…」


俺の声にも流血が反応せず、拓斗の声かけがもはやうわごとみたいになってきたところで。


「うん…? ん……」


流血がようやく反応した。


「流血、流血、大丈夫!?」

「流血、俺が誰か分かる?」


途端に俺と拓斗は、立て続けに流血に声をかける。
だけど、目覚めた途端に声をかけられても、何も理解出来ない気もしてきた。
俺は拓斗を抑える為に、拓斗の制服の袖を少し引っ張る。


「何?」

「いや、こんなに急に声かけても、流血だってパニックになるだけだろ」

「あ…」


拓斗はようやく静かになって、大人しく流血を見つめる。
普段は冷静な拓斗が、そこまで動揺するとは。





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