Vampire's Moral





「二十分くらいかな。オマエ、もう今日は学校休めよ。行くのは無理だ」


拓斗の言葉に返事をしないで、流血は次の質問を続ける。


「ウチの意識、何で戻ったの? こないだは拓斗が、トマトジュースだって言ってたけど」

「トマトジュースは効果無かった。特に戻った原因は分かんない。むしろ、何しても反応無かったから、俺達は本当に焦ったんだ」


正直言うと俺も、こんなに焦ったのはひさしぶりだった。
そもそも普段なら、大したトラブルじゃなけりゃ、そんなに気にもならないし。


「今度は俺が質問する番だ。流血、その顔の痣はどうした? ってか、流血は自分の顔に痣があるって、分かってんの?」

「知ってるよ」



拓斗の質問に、流血は自分の顔の痣の位置を、正確に押さえてみせた。
右側の頬の、少し上らへん。右目の下。


「コレはたぶんだけど……。昨日、泣いてる時に、怒りに任せて机を叩いてたんだよ」





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