Vampire's Moral





「流血さぁ……、ひょっとして、寂しいの?」


流血がビクッとして、流血を説得していた拓斗が振り返って、俺を見た。



流血の最近の苦しみは、過去に感じた“寂しい”が原因だ。
だけど俺と拓斗が学校に行って、流血が休めば、流血は誰かが帰ってくるまで、家に一人ぼっち。
それは今の流血にとって、何よりも苦しいのかもしれない。
また悪夢を繰り返してしまうかもしれないくらい。


「流血、そうなのか…?」


拓斗が少し驚いた様子で、流血に聞いた。
流血は小さく、でも確かに頷いた。

いつもの流血なら、もっとパキパキしていて、しっかり者のイメージが強いから、拓斗が驚きたくなるのも分かる。
でもそれは、自らの気持ちを押し殺して、幸せの為に白い嘘を吐いて、悲しい事にその過去すら忘れてしまった、偽りのイメージだった。
本当の流血は、誰よりも優しくて人を思いやれる性格はそのままに、周りの様子を見てビクビクしてた、少し臆病なヤツだったのかもしれない。





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