Vampire's Moral





「それじゃ、俺と拓斗も家に居るよ。それなら流血も寂しくないだろ?」


拓斗の口が“え”と動いたが、流血の気持ちも分かったのか、文句を言う事は無かった。
さすが拓斗、話の分かるヤツだ。

俺と拓斗の選んだ選択は、つまりは“流血だけじゃなく、俺も拓斗も学校を休む”という選択。
流血がそれで少しでも楽になるなら、学校を休むくらいどうでも良いと思った。


「……ありがとう」


流血は本当に小さく、聞き逃してしまいそうになるほど小さく、けど確かにお礼を言った。


「流血? とりあえず、朝食を食べろ」

「分かった」


流血は改めて、朝飯を食い始める。
拓斗は学校に欠席の連絡を入れる為、リビングを出て行った。

「俺の分の欠席連絡も入れといて」と声はかけたけど、拓斗に聞こえたかどうかは分かんない。

俺は急に暇になった一日をどうしようか考えながら、トマトジュースを飲んで、朝飯を食う流血を眺めた。





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