Vampire's Moral
たっくんが凄く慌ててたのは、こないだ流血が倒れちゃった時も一緒に居たらしいから。
あの時も、「目の前で流血が気を失っちゃって、瞬きもしない赤い目から赤い涙が流れ続けていて、もはや俺ですら怖かった」って言ってたし。
それから、流血が交通事故に遭いそうになったっていう話は、流血本人からじゃなくて、たっくんのクラスメートの流血を助けた人から聞いたんだって。
本人から直接じゃなくて。
それも、“どんなに危ない状態だったか”って想像すると、やっぱりちょっと怖くなってくる。
……あとは、“白兎が死んだ時の、飼育当番だった”からかもしれないな。
当時は小六だったたっくんは飼育委員で、兎小屋の手入れの担当だった。
私は早くに学校行って、たっくんと一緒に兎小屋に入って、兎とよく遊んでたっけ。
たっくんが言うには、白兎が死んでるのを見つけたのは私らしいんだけど、正直言ってあんまり覚えてない。
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