Vampire's Moral





その時の私は小二だったから、……もう六年も前の事になるのか。
忘れてるのも仕方無いかも。

私がたっくんに、「小屋で全く動かないよー」とか言ったみたいで、たっくんや他の飼育委員の人達はかなり慌てたらしい。

……その白兎を何て呼んでいたのかも、思い出せなくなっちゃった。
“流血”って呼んでたんじゃない事だけは、間違い無いんだけど。



「……あんま目を離さないでくれる」

「え?」


たっくんとBloodyが私に話しかけてたみたいだけど、全然気付かなかった。
想像出来る内容が内容だから、ちゃんと確認しなきゃ。


「ごめん、聞いてなかったみたい。もう一回教えてくれる?」

「“流血がこんな状態だから、出来る限りで良いけど、あんま目を離さないでくれる”って、言ったんだ」

「話ちゃんと聞けよ」


Bloodyが突っ込んできたけど、普段は人の話を適当にしか聞いてないBloodyには言われたくない。





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