Vampire's Moral
「分かったよ、たっくん」
私はBloodyは無視して、たっくんに返事した。
流血が苦しむのを、放置する訳にはいかないから。
流血が過去に暴走させられるのを、無視する訳にはいかないから。
自分の部屋に戻って宿題をやってると、ドアをノックする音が聞こえた。
「どうぞー」
私がドアの方に振り向くと、流血が入ってきた。
「植物辞典、借りに来たんだけど……、良い?」
「もちろん」
私は植物辞典を取って、流血に渡す。
「ありがとう」
「どういたしまして」
そのまま植物辞典を持って部屋を出て行こうとする流血の腕を、思わず掴む。
たっくんの、「流血がこんな状態だから、出来る限りで良いけど、あんま目を離さないでくれる」って言葉を、思い出した。
流血が振り返って、私を見た。
その目はいつもと同じ、灰緑色だった。
「Desire、どうしたの?」
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