Vampire's Moral





「えっと……」


流血が不思議そうに私を見る。
“とりあえず流血が行かないように、止めなきゃ”って事だけを考えていて、その先の事を何も考えてなかった私は、一瞬言葉に詰まった。


「良ければ、此処で植物辞典読んでいけば? 私は宿題やってるから気にならないし、お菓子も出すから良ければ食べてよ」

「本当に? 良いの?」

「もちろん」

「ありがとう」


我ながらチグハグな提案だと思ったけど、流血はあっさりと提案に乗ってくれた。
……“ひょっとしたら、流血も自分の部屋で一人で、辞典を読みたくなかったのかもしれない”。
そんな事を考えながら、私はお菓子を出す。
それから部屋の端に置いてある、小さな折り畳みのテーブルを出して、その上にお菓子を広げた。


「どうぞ。飲み物はいる?」

「トマトジュース飲みたいな」


私が自分の飲み物のついでに、トマトジュースを持ってくる事も考えた。





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