Vampire's Moral
だけど、それじゃ流血がこの部屋に一人になってしまう事に気付く。
「じゃあ流血、一緒に飲み物取りに行こう?」
「そうだね」
私と流血にしては珍しく、まるで何でも一緒に行動する女子グループみたいな会話をする。
そのまま台所に向かって、流血はトマトジュースを、私はココアを用意する。
部屋に戻るとさっそく、流血は植物辞典を読み始めて、私は宿題を再開させた。
時々、流血が辞典のページをめくるパラって音が聞こえてくる。
これなら、流血が意識を失ったり、苦しんで泣き始めたとしても、比較的すぐに気付く事が出来る筈。
流血の視界に入る事が無いように、兎の生態について詳しく書かれている動物辞典は、見つかりにくい所にそっとしまった。
宿題は着々と進む。
私は二つ目の宿題に取り掛かっていた。
流血の植物辞典をめくる音も、時々聞こえてくる。
ただ私の考えには、二つの盲点があったみたい。
.