Vampire's Moral
「流血、具合はどう? 何か変なトコは無い?」
「……無いよ。大丈夫」
「良かった。……ほら、とりあえずコレ飲んで」
たっくんが、カップに入ったトマトジュースを、流血に差し出す。
流血は安心したように小さく溜め息を吐いてから、トマトジュースを本当に美味しそうにゴクゴクと飲んだ。
「……なぁ。やっぱりもう、逃げても良いんじゃね?」
「……え?」
「流血はもう、充分に苦しんだと思うよ。きっと、絶対に分かってくれてるって」
きっと、もう分かってくれてる。
流血はもう、充分に悲しんで、苦しんだ。
そもそも何で、流血が他の人の幸せを願って、死んでからもその事で苦しまなきゃいけないの?
そんな思いで、たっくんと私は声をかける。
それを聞いた流血は、寂しそうに、哀しそうに、少しだけ目尻を下げた。
「……二人とも、分かってくれて、ありがと」
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