Vampire's Moral





「半分持ちます。流血さんの家、何処ですか?」

「え、公園の先の住宅街の中だけど……。そんな、悪いよ」


真亜咲ちゃんと美濃の待ち合わせの公園の先まで運ぶって事は、つまりは、真亜咲ちゃんにとって遠回りになってしまう。

しかも、今日の真亜咲ちゃんは、普段よりも可愛いヘアゴムを使ってる。
美濃とのデートだから、色々悩んでオシャレしたんだろうなぁ。
そんなデートの楽しみな気分を、邪魔したくない。

何処かで、胸が、チクリと刺された感じがした。
原因は、もう、分かってる。


「住宅街なら、中学までの途中ですよ。大した距離じゃないです」

「でも、待ち合わせに遅れちゃわない?」

「時間は余裕です。それに流血さんを手伝ってるんだから、美濃先輩は怒りません」


「だって流血さんには、凄く感謝してますから」と可愛く微笑む真亜咲ちゃんの言葉に甘えて、ウチは荷物の一部を運ぶのを、真亜咲ちゃんに手伝ってもらう事にしたんだ。





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