Vampire's Moral





やっぱ隠し事って何処かに無理があるから、吐き出したら楽になれるんだと思ってた。
半ば否定する勢いで押し殺した想いを、自分自身で認めたら楽になれると思ってた。

なのに、実際には肋骨らへんが痛くなって、呼吸が苦しくなって、意識が飛ぶようになった。
どうしても、寂しくて苦しい。
どうしても、楽になれない。

誰も悪くないのは、誰よりも知ってる。
ただ、ウチの想いが双方向じゃなかっただけ。
それで、皆の幸せの為に、自分自身の想いに嘘を吐いただけ。

それだけなのに。
本当に、それだけだったのに。
美濃も真亜咲ちゃんも、何も悪くないのに…………。


「流血! 流血ってば! しっかりしてよ!」



……気が付いたら、Desireがウチの肩を掴んで、思いっきり揺さぶってきていた。
どうやらウチは、また意識を失っていたらしい。
ちゃんと考えてたんだけどな…。
床を見ると、赤い涙が落ちていた。





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