Vampire's Moral





前に、BloodyがDesireに話してるのが、聞こえてしまった。
「忘れたい事も一生覚えてなきゃいけないし、それだけで既に終わってる」って。
今なら、その言葉の意味が、本当によく分かる。
一生生きてるのは、ある意味、忘れられない証拠。
だからこそウチは、死ぬしか、死んで意識を本当に断つしか、忘れられる方法が無いって、気付いた。


嫌な記憶だから忘れたいとか、ウチの想いを押し殺す原因になった二人が嫌いとか、そういう事じゃない。
実際、今でも灰色の彼は好きだし、薄茶の子も友達だと言い切れる。

ただ、だからこそ、ウチを見てくれる事は無かった彼を認めるのは、苦しいんだ。
想い合う事が出来た二人の邪魔は出来ないし、二人にもう逢う事が出来ないのは寂しいだけだよ。
こんな言い方は違うかもしんないけど、ウチは“置いていかれた”んだから。
置いていかれたんなら、ウチも追いついたら、またあの二人に逢えるかもしんないし。





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