Vampire's Moral





拓斗達にも、悪い事を頼む事になるのは、分かってる。
だって人も殺してない吸血鬼に、仲間を殺すように頼むんだから。
六年間も一緒に居たから、出来れば頼みたくないよ。
だけど、全部の事情を知っていて、頼めそうな人が、他にいない。

しかも、何回も“逃げろ”って言ってくれたのは、拓斗達なんだからね。
ちゃんと考えれば、“逃げる=死ぬ”だって、分かる筈。

ごめんね、本当にごめんね。
“ゾンビ”なのに、快く受け入れてくれて、今まで助けてくれて、ありがと。


……問題は、どのタイミングで拓斗達に打ち明けて、いつ“逃がして”もらうかだ。
ちゃんと説明すれば分かってくれるだろうし、問題無く“逃がして”もらえると思う。
ただ、全員にちゃんと話さなきゃいけないから、やっぱ夕食の時に話すべきかな……?
せっかくの夕食の時に、いかにも食事が不味くなりそうな話をして、申し訳無いけど。
ただ、ウチが作る夕食だから、不味いと思われても、周りに被害が出ないのは、せめてもの救い。




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