Vampire's Moral





「因幡さんって北高ですよね。何年生ですか?」




……この会話、上手く本題に転がってくれれば助かる。




「一年生。だから、真亜咲ちゃんとは一歳しか違わないんだ」

「北高の一年生。……なら、美濃彰って知ってますか?」




あぁ、良かった。上手く転がってくれた。




「知ってるってか、クラスメート」

「本当ですか?」


「うん。実は、美濃が「三中に駿河真亜咲っていう、素敵な後輩がいる」って喋ってるの聞いて、会ってみたくなったんだ」

「そうだったんですね!」




……美濃が真亜咲ちゃんを素敵だと思ってる事に間違いは無いし、これくらいの嘘なら許されるだろ。

本当の事をウチの口から言うのは、さすがに気が引ける。


真亜咲ちゃんが、ふんわりと笑う。




「美濃先輩に素敵な後輩って言ってもらえるの、嬉しいなぁ。美濃先輩、あたしの憧れなんですよね」





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