Vampire's Moral
「残ってるけど、何で? Bloody、自分の教科書は?」
「失くしちゃったんだよ。落とし物の事務の方にも連絡入れてんだけど、見つかるまで貸してくんね?」
「分かった。後で取りに来なよ」
今度はBloodyに遮られた。
前にも話そうとして、代わる代わる五回も六回も遮られた事あったけど…。
「聞いて……」
「そういやDesire、今日って面白い番組あったっけ?」
「たっくんが好きそうなのはね……」
「話を聞けって!!」
しびれを切らして、ウチは怒る。
皆、ピタッと動きを止めて、ウチを見る。
“仏の顔も三度まで”って言葉が、頭に浮かんだ。
……吸血鬼だけど。仏じゃないけど。
「あの! 話があるの!何回も何回も声かけてんのに、皆遮って…」
「話って、何?」
キレてるウチに対して、拓斗が穏やかに聞いてきた。
それで、わざと遮ってたんじゃないと分かる。
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