Vampire's Moral





「何で、今日話した?」

「“あの倒れた日から、五回倒れたら、終わらせる”って、決めたから。…だから、もう、必要な物、全部揃えてある」


拓斗はとても悲しそうなまま、黙った。
ごめんね、拓斗。皆も、ごめん。


だって言っちゃえば、ウチはまた自殺を繰り返す事になる。
前回は予想もせずに、結果として“自殺”って形になっちゃったけど。
今回は予定もしてて、必要な道具も、事前に全部揃えてある。
こんな事って、本当は無い。

ウチは終わる方だけど、残される辛さは、誰よりも分かってるつもり。
だってそれが、ウチの過去の半分なんだから。


「本当に、ごめん。でも決めたから。だから皆には、力を貸して欲しい」

「分かった」


一番最初に返事したのは、一番悲しそうな顔をした拓斗だった。
拓斗は拓斗なりに、沢山考えて、ウチの言い分を認めてくれたんだと思う。
だけどこの時は、拓斗が一番悲しい顔をしてる理由は、分かんなかった。





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