Vampire's Moral





翌日、拓斗達全員に、ウチの部屋に集まってもらった。
意識を終わらせて、“逃がして”もらう為に。
牛革の手袋を、一人に一組ずつ渡す。
吸血鬼が触れないという銀を、皆が握れるように。
その銀の棒で、ウチの胸を貫いてもらう為に。
皆が牛革の手袋のはめたのを確認してから、ウチは紙で梱包された銀の棒を取り出した。


「聞いて。この中には、先が尖った銀の棒が入ってるの。皆に手袋してもらったのは、その為」


吸血鬼は、銀を直接触る事は出来ないから。
だけど、"革の手袋をした上からであれば、銀に触る事が出来る"って、聞いた事があった。


「…この棒で、ウチの胸を貫いて欲しい」


吸血鬼の退治方法としては、幾つか知られてる方法がある。
十字架に磔にする、とか。
強い日光を浴びせる、とか。
ただ、吸血鬼も長年の進化の間に、日光や十字架、ニンニクに耐えられるものが出てくるようになった。





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