Vampire's Moral





それでも、変わらずに効果があるとされている退治方法が残っている。
その一つが、"杭で心臓を貫き、その体を灰になるまで燃やす"という方法。
人間でも出血多量とかで死に至りそうな方法だけど、ウチはその効果を強くする為に、敢えて杭に銀という素材を選んだんだ。


「ウチが死んだら、本当は灰になるまで燃やすのが一番良いんだけど、……何なら血として皆で補充してくれても構わない。拓斗は、高校への報告と、事後処理だけ頼む」


気持ちとしては、遺書を手紙として残さず、それを言葉にしてる感じだった。
…て、それって遺言って言うのか。

ウチは素手のまま、紙に包まれた棒を掴み、そのまま梱包を剥がす。
ウチの素手が触れた部分から、棒がみるみる変色していった。
銀を触ってる手がヒリヒリと、焼けるように痛む。
その痛みを無視して、棒を三人に渡す。
拓斗が棒を握って、ウチは床に横になった。





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