Vampire's Moral





「美濃は美濃自身を卑下しすぎだ」




俺の話をぶった切られた。まだ喋ってる途中だったんだけど。
俺が俺を卑下している? だって俺、こんなクズだよ?


いつものような無表情な顔で、因幡は俺を見た。

灰緑色の目がほんの少しだけ赤くなってる、気がした。




「確かに駿河真亜咲はよくできた人間で、凄い頑張り屋で、美濃が駿河真亜咲と比べて自分を卑下したくなるのも分かる」

「だろ? なら、何で?」




大丈夫、の確証が無いのに。

分かる、とは言ってるけど。
きっと因幡には、俺の辛さは分かんないよ。
真亜咲はそんだけ、凄い娘なんだから。




「美濃が駿河真亜咲の隣りにいたいなら、美濃の価値は駿河真亜咲が決めるんじゃないかな。美濃が勝手に決めつけるなよ。駿河真亜咲はきっと、美濃自身が分かってない美濃の良さを知ってる」





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