Vampire's Moral





俺が知らない俺の良さ? そんなのあんのか。
だって、俺自身の事だぞ。




「俺の事は、俺が一番良く知ってる」




因幡は「そうだ」とも「違う」とも言わずに、続きを喋る。




「美濃が真亜咲ちゃんの知らない一面があるのは当たり前だけど、美濃は真亜咲ちゃんを知らなさすぎるんじゃない? それじゃ真亜咲ちゃんにも、失礼でしょ。真亜咲ちゃんは、美濃が美濃自身で思ってるほど、美濃を卑下してないよ。」




そのまま因幡は続ける。




「優しさってさ、優しくした方は忘れてても、優しくされた方はずっと覚えてるモンらしいよ。少なくても真亜咲ちゃん、「美濃先輩を尊敬してます」って言ってた」




……じゃあ真亜咲は、少なくても俺を、人間として好意を持ってくれてるんだな。
何かもう、それだけでも嬉しい。

…でも、願わくば。隣りにいたい。




「これ以上は、ウチの口からは言えない。本人同士が話すべきだろ」





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