Vampire's Moral

3 ～彼女の意識を戻して～

1 ～俊秀Side～

中学からの帰り道。
俺・下野俊秀(ｼﾀﾉ ﾄｼﾋﾃﾞ)は、急いで帰っていた。


今は期末試験の最中だ。
これが終われば、夏休みと、本格的な高校受験のが始まる。


だけどその前に、とりあえずは目の前の期末試験が大事。

今日の試験は上手くいった。
早く帰って、明日の試験の勉強をしなくては。
特に明日は、苦手教科の試験が集中している。




「トシ、待ってよ～。一人で帰っちゃうなんて狡いって」


後ろからパタパタと走ってくる音と、媚びてはないけど可愛い感じの、女の声が聞こえた。

振り返らなくても分かる。
俺を“トシ”と呼ぶ女なんて、この世に一人しかいない。
誰よりも、お互いのコトを、理解していて、大事にしている。


幼なじみであり、俺の彼女でもある、上野江梨子(ｳｴﾉ ｴﾘｺ)だ。





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