Vampire's Moral
……確かに江梨子は、勉強を教えるのが上手い。
でも今回くらいは、江梨子の手を借りずに、そこそこ良い成績を取って、「俺だって出来る」ってアピりたかったんだけど…。
俺だって少しくらいは、格好良い所を見せたいよ。
「江梨子、信号、青になったよ」
俺と歩き出す江梨子。
突然、右側から急ブレーキが聞こえた。
急ブレーキのした方を見ると、猛スピードで坂を下ってくる車。
「危ない!」
俺は江梨子を連れて、走って交差点を渡ろうとする。
しかし、車は急には止まれない。
ましてや、下り坂なんて尚更ブレーキが利かない。
当たり前なんだけど。
考えなくても分かるくらいの。
ドンっと、衝撃があったと思った。
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