Vampire's Moral
「江梨子は? 俺と一緒に居たと思うんだけど」
すると和明は、顔を顰めて、さぞ言いにくそうに吐き出した。
「……オマエと一緒に運ばれてきた。…………オマエよりずっと重症で、今は集中治療室にいる」
……そんな。
江梨子が俺よりも重症なんて。
せめて俺が一緒にいなきゃ。
それで江梨子が楽になれるなら。
江梨子が目を覚ました時に、俺がいてあげなきゃ。
「江梨子のトコに行かなきゃ」
「行くな! オマエは動くな!」
和明が俺の腕を押さえる前に、俺は何かに引っ張られた。
確認すると、俺の腕には点滴のチューブがついている。
「俊秀だって絶対安静って言われてるんだ。点滴だって打たれてる。上野が心配なのは分かるけど、ここはプロに任せようよ」
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