Vampire's Moral
「よぉ、俊秀」
振り返ると、和明だった。
和明は病室の隅に置いてあった丸椅子を持ってきてれ俺の横に座る。
「和明も見舞いに?」
「違う。俊秀を探しに来た」
俺を探しに?
何か用事あるなら、メールでもくれりゃ良いのに。
「ってか、よく俺が此処に居るって分かったな」
「駿河が、学校前のバス停から病院行きのバスに乗る俊秀を見たってさ」
サッカー部の準備中だったんだろうな、と呟く和明。
…さいですか。
学校前のバス停が見える位置で練習するサッカー部のマネージャー•駿河に聞いてみる和明も、なかなかの確信犯だと思う。
「……上野の意識はまだ戻らないのか」
眠り続ける江梨子を見下ろして、和明は呟く。
当たり前だろ。
だからこそ、俺は毎日のように此処に来ているんだ。
和明は俺の表情を見ながら、聞いてきた。
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