Vampire's Moral
「上野の反応が無いの、やっぱ辛いか」
「そりゃそうだよ。一緒にいた俺は無事なんだし、江梨子のコトを守れなかったのもキツいし」
当たり前だろ。
そんな事、わざわざ聞くなよな。
何より、いつもはある筈の反応が返ってこない事、いつもは横にある筈の笑顔が無い事は、やっぱり違和感だらけだ。
「……なぁ、そこまで苦しむんだったら」
聞こえた言葉に反応して顔を上げると、和明が俺を見ていた。
何だ? 今より楽になれるのか?
「アンモラルに、頼んでみないか?」
「アンモラルに?」
アンモラルは最近、“どんな願い事も叶えてくれる”と話題の四人組。
俺や和明のクラスメートである、留学生のBloodyも、確かその一人の筈。
「アンモラルに頼んでみたら、上野の状態だって、少なくても今よりは良くなるかもしれないから」
確かに、願いを叶えてくれるアンモラルであれば、医者も手を尽くした江梨子の状態を改善出来るかもしんない。
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