Vampire's Moral
俺は翌日、和明に相談してみる事にした。
文明が進んだ時代に電話もメールも使わなかったのは、俺の考えは少し時間を置いた方が、和明にも落ち着いて話せると思ったからだ。
昼休みに、屋上へ続く使われてない階段で落ち合う約束をする。
「どうした、俊秀」
待ち合わせた場所に俺が行くと既に和明が居て、不安そうに俺を見てきた。
普段の俺はあまり相談とかしないから、和明は相談を持ち掛けられた時点で、何かあったのかもしれないと考えたんだろう。
俺は和明の隣りに座った。
「なぁ、和明」
「何?」
「江梨子を助ける為には、俺が代わりに死ななきゃいけないんだったら、どうすれば良いんだろう?」
「……どういう事だ?」
和明が一発でわかってくれなかったから、俺は少し考える。
こう説明すれば、和明も理解出来る筈だ。
「江梨子の意識を戻す為には、俺が江梨子の意識と引き換えに死ななきゃいけないとしたら、俺はどうすれば良い?」
.