怪盗舞月夜WINGただいま参上♪
樹は、しばらく考えて口を開く。
『両親に死なれて、俺ん家の養女になって…、そして皐の暴力に傷ついて……。』
「樹…?」
電話の向こうで樹は、自分の唇を噛みしめる。
『…寂しい想いをさせることなかったのにな……。』
「……樹…、僕寂しいなんて一度も思ったことないよ。」
『……え?』
癒麻は電話を握ったまま、微笑む。
「僕、一度も寂しいなんて思ってない。」
しばらくの沈黙が流れる。
「辛いなんて思ったことないって言えば嘘になるけど、寂しいとは思ってないわ。
いつだって樹は、一緒にいてくれるじゃない。
僕を守ってくれるじゃない。」
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