ラララ吉祥寺

「木島さん、今日はお仕事お休みして頂いたんですか?」

車が走り出すと、芽衣さんが先ず口を開いた。

「いや、この送迎が終わったら店に出ますよ。

バイトの田中くんは頼りになりますが、僕でないと出来ない仕事もあるんですよ」

これでも一国一城の主なんでね、と木島さんは笑って答えた。

「ありがとうございました」

「いやいや、僕から申し出たことですから、お気になさらず。

下宿の一大事に一役担いたいじゃありませんか」

文子さん一人じゃ心許ないしね、なんて聞き捨てならない言葉が飛び出してきて。

「木島さん!」

わたしは昨晩の出来事を思い出して、少しうろたえてしまった。

でも……、「はい? 何でしょう?」なんて、木島さんが惚けるから。


「なんか、お二人、いつもと違いません?」


芽衣さんからいらぬ詮索を受けてしまう結果に。
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