ラララ吉祥寺
その後は三人とも終始無言。
ラジオから流れるパーソナリティの笑い声だけが妙に車内に響いていた。
「さぁ、着きましたよ」
武蔵境から吉祥寺の我が家まではあっという間だった。
木島さんは助手席の荷物をひょいと持つと、外に出て後部座席の扉を開けてくれた。
「僕はこのまま店に行きますね。文子さん、荷物をお願いします。
あ、芽衣さん、足元、気をつけて……」
車を降りる時、少しだけバランスを崩してよろけそうになった芽衣さんに、木島さんがすかさず手を差し伸べた。
「すいません」
「いえいえ、どういたしまして」
わたしには反発した芽衣さんだけど、木島さんには素直だった。
「じゃ、今日は僕も早めに帰ります。みんなで夕飯食べましょう」
彼はそういい残し、軽トラに乗り込みでかけて行った。