ラララ吉祥寺


「でも木島さん、ベビーベットって、ちょっと気が早くありませんか?」


大きな荷物を担いで帰るなり、1階居間でベビーベッドを組み立て始めた木島さん。

「そんなことないでしょ。

今日、たまたまこのベッドが入荷して、デザインも状態もかなり良いので確保したまでですよ。

まぁ、レンタルって手もありますけどね」

そう言いながらも器用にベッドを組み立てていく木島さん。

「他にいるものピックアップしておいてくださいね。

ベビーバスとか哺乳瓶とか。

肌着や服はフリーマーケットで手に入れるとして……。

あ、すいません、そういうの女性は新しいのがいいのかな?」

「いえ、数がいると思うので、何点かは気に入ったものを買って、あとは古着で賄おうかと思ってます」

「おしめはどうします?

紙? それとも布?」

「う~ん、ちょっと迷ってます。

保育園に預けることを考えると紙でも仕方ないかな、と思うのですが。

情緒的な発育の点から見ると、布の方が良いって書いてあるし……」


どこでどう仕入れてきたのか。

木島さんは芽衣さんと二人、出産に向けての細々とした話を実に詳しく語り合っていた。
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