ラララ吉祥寺
「元妻は身体が弱くて、何度か妊娠したんですけど、流産を繰り返してしまって。
不育症、って知ってますか?
妊娠したのに、胎児が上手く育たず流産や死産を繰り返してしまうんです。
僕としてみたら、そんな無理をしてまで子供を持つ必要性を感じられなくて。
それでも彼女は子供を望んで、何度も妊娠と流産を繰り返し精神的に参ってしまった。
僕は……、彼女に寄り添うことが出来ずに彼女をひとり追い詰めてしまった。
彼女が子供を望む、その気持ちを理解することを諦めてしまった。
結局僕らは離婚した訳ですが。
僕は、仕事を理由に真剣に彼女に向き合わなかった自分に負い目があるんです。
今の僕からは想像するのは難しいとは思いますけどね。
当時の僕は商社の営業マンで、所謂土日も問わず働くワーカホーリックってやつで。
離婚のゴタゴタで会社を辞めることになって。
その反動かな、今は自由きままな古物商の主です」
褒められた話じゃないですけどね、と木島さんは苦笑した。