ラララ吉祥寺

「でも……」

それって普通の感情なんじゃないだろうか?

「限界は必ずある。

だから余裕が必要なんです。

いざという時の余力がね。

僕の場合、70か80%運転が理想かな」

頑張るのも、我慢するのも、楽しむのもほどほどがいいんです、そう言って木島さんは笑った。

「だから、文子さんも、無理に気持ちを押し込める必要はないと思いますよ。

妬ましい気持ちも、ほどほどに持っていればそれでいいじゃないですか。

悲しい気持ちも我慢せず、ほどほどにやり過ごせばいいんです。

そういう感情全てが文子さんの一部であるわけだし。

そういう過去があるから今の文子さんがいるわけでしょう?」

少なくとも僕は今の自分が好きです、まぁ他人から見たら単なる頼りない男だとは思いますが、と木島さんは頭を掻いた。

そんな彼にわたしは戸惑った。



彼はわたしを買いかぶっている。
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