ラララ吉祥寺
しばらくしてハウスの扉が開き、中から小柄な老女が姿を現した。
「龍ちゃん、久しぶりだの」
手ぬぐいを首にかけ、モンペに長靴という井出たちだ。
「梅さんもお元気そうで。どうですか苗の具合は?」
「ああ、ぼちぼちじゃよ。見てくかい?」
「いいですか?」
そんなやり取りの後、木島さんが大きな声で今度はわたしを呼んだ。
「文子さ~ん、一緒に見せて貰いませんかぁ~」
そんな大きな声で呼ばれたら、嫌ですとも言いにくい。
わたしは仕方なく、足元を気にしながらも木島さんの通った後をなぞってハウスを目指した。