ラララ吉祥寺
「文子さん!」
今度はわたしが木島さんに呼ばれた。
「はい!」
そのまま階段を駆け下りた。
「破水してるようです。直ぐに病院に電話をして。
僕は車を取ってくるので、芽衣さんの荷物をお願いします」
「でも……、タクシー呼びましょうか?」
「昼間の電話でもしかしてと思って、車は近くに停めてるんです。
直ぐ来ますから」
貴方も着替えて、と言い残し木島さんは出ていった。
はっとして自分に目を移すと、寝巻き代わりのタンクトップにノーブラ、短パンというあられもない姿のわたしがいた。
いやいや、恥ずかしがってる暇はない。
兎に角、病院に電話、それに荷物。
わたしは、用意してあった電話番号に電話をかける。
今の彼女の状況を伝え、これから病院へ向かう旨を告げて電話を切った。
そして、二階に駆け上がり、自分の着替えを迅速に済ませる。
Gパンに、Tシャツ、その上にパーカーを羽織った。
これならブラをつけて無くても目立たない。
そうだ、芽衣さんに羽織るもの。
下着に何か当てた方がいいのかな?
芽衣さんの部屋から薄手のカーディガンと入院準備のボストンを持って出る。
急いだつもりだったのに、既に木島さんが車を取って戻って来ていた。